旅と漢方と、時々ウェディング

見聞の章

こつめ先生 九州〜四国バイク旅・情熱ドキュメント

7月20日|学びの始まり】

福岡・博多日航ホテル。

全国から志ある薬局の先生方が集う「日本薬局製剤研究会 漢方フォーラム」に参加しました。

講演に耳を傾け、処方の考察を深め、そして夜は会食と情報交換。

現場での悩みや知見を交わし合いながら、「お薬本舗モリグチビッグ」の未来に活かすヒントをいくつも得ました。

こんな日こそ、自分がこの道を選んだ理由を思い出す。

“人を元気にしたい。そのために、もっと学びたい”——その原点に、そっと触れる時間でした。

7月21日|糸島〜熊本 バイクで風と語る】

翌朝、バイクのエンジンを鳴らし、博多から旅立つ。

まずは糸島。

澄んだ海の向こうに、桜井二見ヶ浦の夫婦岩が並ぶ。

寄り添うように立つ二つの岩を見ていると、なんだか心が温かくなる。

そのすぐ近く、「またいちの塩 製造工房とったん」で名物の“塩プリン”をひとくち。

甘さと塩気が、絶妙に調和していて、旅の疲れをそっと癒してくれた。

昼には呼子へ。前夜、日航ホテルのスタッフさんが「絶対行ってみて」と教えてくれた店——魚てる

透き通るイカに舌鼓。呼子の海が、そのまま皿に乗っているようだった。

夕暮れどき、バイクを走らせ熊本駅近くのホテルへ。

1年ぶりに「ざっくばらん」の暖簾をくぐる。忘れられなかった馬肉の味。

タテガミ、赤身、レバ刺し……どれも唸るほどの鮮度。

そして揚げたての“いきなり団子”が、ほろりと沁みる。

ホテルへ戻る途中、暗がりの街角でウェディングドレス姿の新郎新婦とすれ違った。

こんな時間に?

それはこの旅に、思いもよらぬ「偶然の再会」の伏線だった。

7月22日|阿蘇の奇跡と試練】

朝。目指すは阿蘇。

壮大なケニーロードで、写真を撮っていると、昨日のあの新郎新婦とまさかの再会。

「また会いましたね」とは言えず、ただその美しい姿を遠くから見つめていた。

南阿蘇を抜け、ミルクロードを反時計回りに走行。

目的地は、ライダーたちの聖地「レストラン北山」。

名物“バイク丼”でエネルギーを補給したら、大観峰へ。

するとまた、例の新郎新婦が…。

3度目の再会に、もう言葉もない。

この雄大な景色が、ふたりの門出を祝福しているようだった。

夕暮れ、大観峰の丘から見下ろす景色は、胸がつまるほど美しい。

——だが、その静寂を破る一通のメール。

「水の供給ができなくなったため、本日の宿泊はキャンセルとさせていただきます」

旅に、想定外はつきもの。

あわててスマホを開き、宿を探す。幸いにも、別の宿がすぐ見つかり、事なきを得た。

トラブルも、旅の味わいのひとつだ。

7月23日|愛媛へ、思い出を乗せて】

阿蘇を後にし、佐賀関港へ。

そこから国道九四フェリーで、海を越えて愛媛・松山へ。

出港前に立ち寄ったのは「姫乃屋食堂」。

3年前、一度訪れて感動した味。

ここでしか味わえない“海鮮丼”は、やはり格別だった。

船に揺られて1時間、四国に上陸。

途中、「日本一海に近い駅」こと下灘駅に立ち寄り、記念撮影。

列車は来なくても、旅人の心は静かに動き出す。

この日は松山の街をゆっくりと歩き、静かな夜を過ごした。

7月24日|絶景と別れと、そして再出発】

朝5時30分、まだ薄暗い空の下、ホテルを出発。

四国カルストを経て、目指すはUFOライン。

天空に浮かぶような道、遥か彼方まで続く緑の尾根。

そこに立つだけで、日常のあらゆる悩みが小さく見えてくる。

すべての景色が、心のどこかをそっと撫でていくような感覚。

さあ、そろそろ帰阪の時間や。

【旅の終わりに】

今回の旅で出会ったのは、人、景色、偶然、そして自分自身。

学び、味わい、走り、迷い、また走る——そんな日々の積み重ねが、漢方の知恵とともに、誰かの力になる日を信じて。

バイクにまたがるこつめ先生の背中が、少しだけ頼もしく見えた——そんな4日間でした。