こつめ先生が漢方と出会う運命の1日・・・
こつめ先生がまだ“先生”ではなかった頃。
名前もただの「こつめ」。
どこにでもいる、風邪ばっかりひいてる小さなカワウソでした。
「また熱かいな…あんた、ほんま身体よわっちいなぁ。」
そう言いながら、優しく背中をさすってくれたのは、森のはずれで漢方を扱うおばあちゃん。
年季の入った木の棚には、土瓶やら茶色い瓶やら、見たことないものがずらりと並んでいました。
「これ、飲んでみぃ。苦いけど、よう効くよ。」
そう言って手渡されたのは、なんとも言えん色の…あったかいお茶のような液体。
「……にっ、にがっ!!」
「ふふ、そうやろ。でも、カラダの奥から温もってくるやろ?」
数時間後。
あれだけぐったりしてたのに、身体がスーッと軽くなって、こつめは思わずつぶやきました。
「なんやこれ……魔法みたいや。」
おばあちゃんは、笑って首をふります。
「魔法とちゃう。**“漢方”いうんや。自然の力で、カラダと話し合う薬やで。」
その言葉が、ちいさなこつめの胸に、じんわり残ったのでした。
【つづく】
次回予告タイトル:
第2話『漢方の棚は宝箱』
こつめ少年、おばあちゃんの店で初めて「葛根湯」と出会う!