「これ、全部くすりなん…?」
風邪が治って元気を取り戻したこつめ少年は、
おばあちゃんの店の奥にある棚をじーっと見つめていました。
色とりどりの瓶や紙袋、乾いた葉っぱに見えるものまで並ぶその棚は、
こつめにとってまるで**“宝箱”**みたいに見えたのです。
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「これは何の薬?」「こっちは?」「これ、食べてもええん?」
子ども特有の好奇心が爆発し、おばあちゃんもタジタジ。
「もう、しゃあないな〜。そしたら今日は、**“葛根湯(かっこんとう)”**を教えたるわ。」
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そう言っておばあちゃんは、カラカラと音のする根っこを取り出しました。
「風邪のひきはじめによう効くんよ。肩がこったときもええ。」
「へええ〜…これがあの魔法みたいな薬の一つなん?」
「言うたやろ、魔法ちゃうで。自然のチカラや。
せやけどな、どの薬も“使いどころ”を知らなあかん。」
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こつめ少年は真剣な顔でうなずきました。
そして小さくつぶやきます。
「ボク、もっと知りたいなぁ…この“宝箱”の中身。」
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【つづく】
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次回予告
第3話『湯気のむこうの決意』
こつめ少年、初めての“煎じ体験”で大事件!?