第2話『漢方の棚は宝箱』

漢方小説

「これ、全部くすりなん…?」

風邪が治って元気を取り戻したこつめ少年は、

おばあちゃんの店の奥にある棚をじーっと見つめていました。

色とりどりの瓶や紙袋、乾いた葉っぱに見えるものまで並ぶその棚は、

こつめにとってまるで**“宝箱”**みたいに見えたのです。

「これは何の薬?」「こっちは?」「これ、食べてもええん?」

子ども特有の好奇心が爆発し、おばあちゃんもタジタジ。

「もう、しゃあないな〜。そしたら今日は、**“葛根湯(かっこんとう)”**を教えたるわ。」

そう言っておばあちゃんは、カラカラと音のする根っこを取り出しました。

「風邪のひきはじめによう効くんよ。肩がこったときもええ。」

「へええ〜…これがあの魔法みたいな薬の一つなん?」

「言うたやろ、魔法ちゃうで。自然のチカラや。

せやけどな、どの薬も“使いどころ”を知らなあかん。」

こつめ少年は真剣な顔でうなずきました。

そして小さくつぶやきます。

「ボク、もっと知りたいなぁ…この“宝箱”の中身。」

【つづく】

次回予告

第3話『湯気のむこうの決意』

こつめ少年、初めての“煎じ体験”で大事件!?