こつめ先生

漢方小説

第9話『“漢方家”ってどんなひと?』

「こつめ、ちょっとこっち来て手ぇ貸して。」店の奥で、おばあちゃんが漢方棚の引き出しを一つずつ開けながら、何かを探していた。「今日はな、昔のお客さんが久しぶりに来はるんよ。ちょっと特別な調合や。」ここは、大阪の下町にある小さな薬店──『漢方の...
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第6話『補中益気湯ってどんな味?』

「今日はこれ、煎じてみぃ。」おばあちゃんが差し出したのは、茶色い紙袋。中には何種類もの草や根っこ、実のようなものがぎっしり入っていた。「これが…“ほちゅうえっきとう”ってやつか。」火鉢の上で煎じ始めると、湯気とともにふわっと、ほんのり甘くて...
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第2話『漢方の棚は宝箱』

「これ、全部くすりなん…?」風邪が治って元気を取り戻したこつめ少年は、おばあちゃんの店の奥にある棚をじーっと見つめていました。色とりどりの瓶や紙袋、乾いた葉っぱに見えるものまで並ぶその棚は、こつめにとってまるで**“宝箱”**みたいに見えた...