漢方小説第5話『おまえはどんな“気”をしてる?』 春のはじまり。朝はまだひんやりするけれど、昼になるとぽかぽかと陽射しが差し込む。だけど、こつめ少年の表情は、いまひとつ冴えない。「……なんか、しんどいんや。」熱もない。咳も出ない。風邪じゃなさそう。でも、朝からぼーっとして、ご飯もあまり進ま... 2025.06.14漢方小説
漢方小説第4話『あんたの体質、冷えやな』 冬の朝。こつめ少年はマフラーに顔をうずめ、指先をこすりながら薬棚の隅で丸くなっていた。「さぶ…さぶすぎる……」火鉢に手を伸ばしても、足の先からはじんわり冷えが上がってくる。湯気の立つ薬湯がそばにあるのに、いまいち身体はあったまらない。それを... 2025.06.07漢方小説
漢方小説第3話『湯気のむこうの決意』 「さあ今日は、煎じるとこまでやってみぃ。」おばあちゃんが差し出したのは、土瓶と小さな火鉢。こつめ少年の目がぱちくりと大きくなる。「ボクが!?」「自分の手でやってこそ、ほんまの“漢方好き”になるんやで。」⸻緊張した面持ちで薬草を量り、水を入れ... 2025.05.31漢方小説