漢方小説第12話『道に迷う日、心に迷う日』 大学の講義室。周りの席からは「国家試験」「内定」「研修」…そんな単語ばかりが飛び交っていた。みんな、もう“どこで何をするか”を決めているようやった。ぼくはノートの端に、また薬草の名前を書いていた。シャクヤク、カンゾウ、ケイヒ…。授業内容とは... 2025.08.09漢方小説
漢方小説第8話『あんたの“血”、ちゃんとめぐってる?』 その日は雨上がりの午後やった。湿った風が流れこむ店の奥で、こつめ少年は棚の整理をしていた。「おばあちゃん、お湯わいたでー」返事がない。⸻奥の間に目を向けると、おばあちゃんが椅子に腰かけ、胸を押さえて静かに目を閉じていた。「……だいじょうぶ?... 2025.07.05漢方小説
漢方小説第7話『薬の名前って、むずかしい?』 「……かっこんとう。ほちゅう…えっきとう。あれ? なんやったっけ?」こつめ少年は、棚の前で首をかしげていた。漢方の袋には、漢字ばかりの難しそうな名前がずらり。どれがどれやら、さっぱりわからなくなってきた。「おばあちゃん、これとこれ、何がちゃ... 2025.06.29漢方小説